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2022年スタート

 あけましておめでとうございます。西暦に同じ数字が三つも並ぶ珍しい年です。さて、近年ではSDGs
(持続可能な開発目標)が脚光を浴びています。地質調査の分野では自然の成り立ち(発生から消滅
に向かう過程)を解析し、住まいや開発地のリスク評価を行っていますので、本質的にSDGsに向いた
業種だと言えます。

  また、2022年度から高校で地理総合が必修科目となります。これにより防災教育やSDGsに関する
リテラシーが飛躍的に増加することが期待されています。より幅広く、複合的な知識が必要な時代に
なっていきています

 これに対して多分野のwikipediaを集めるような取り組みではなく、限られた情報からいかに多くの
背景を読み解くか、未来を予測するか知恵を集める方が、人間的で楽しいことではないでしょうか。

 例えば、次の写真をみてみましょう。どんなことが想像できますか?(撮影日に橋梁の拡張工事が行
われていたため、必ずしもベストポジションの撮影位置ではないことをご容赦ください) 。川が逆流して
いるのではないか?実は有明海の満ち潮の時間なので秒速1mとはいかないまでもそれに近い速さで
海水が遡上しています)、同じ場所で夕方に写真を撮影すると船が土の上に載っており、干満の差が
大きいことがわかります。いわゆる「ガタ土」であり、とても軟弱な地盤です。私の知り合いの工学の
得意な人は「斜張橋といえば、ケーブルテンションをどのように常時計測しているのか」を考えたと言
います。
 この干潟の成立は、基本的には最終氷期に大陸とつながっていたころのレス(風成堆積物)であり、
その後の海進、別府-島原地溝帯の地殻変動の関連、湾の入り口の狭さと湾奥の広さ、そういった地球
科学と工学土地利用の歴史、いろんな知恵を出し合うことで、暮らしの安全と環境の保全に役立つ社会
を目指しています



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