丹沢山地を構成する岩体の多くは、南の海で1700〜1200万年前の海底火山噴出物からできており、100〜70万年前にかけて本州と衝突した伊豆半島の圧力によって丹沢山地の岩体が隆起し、現在の急峻な山地が形成されました。日本の代表的な火山灰である、姶良-Tn火山灰は、丹沢山系で発見されたことによって、その分布の広さが認識されました。
そしていま、シカの食害とヒルの増加が問題になっています。昭和20年代に、狩猟の解禁により丹沢山地のシカは絶滅寸前となったため、その後保護のため15年間禁猟されました。また、広葉樹林の伐採に伴って、草本〜低木類が生育し、シカに多量の食物を供給しました。こうしたことが相まって、今日現地踏査をしていても、すぐ近くに鹿の群れが出てくるようになりました。さらに悪いことに、鹿とともに"招かれざる客”ヒルの被害が増えることとなりました。
現場で数億年にわたる地球の悠久の歴史と会話して、ほっと一息つこうとしたとき、そんな”ヤツ”が地球の物質循環の乱れを警告してくれます。
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