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台風19号体験記 - 避難とStay Home  下河 敏彦
危機迫る

 2019年10月12日の日降水量は、多くの観測所で最大値を更新しました。アメダス箱根では午前5時に
時間雨量32mmとなり午後8時過ぎまで降り続き922mmにもなりました。
 私は自宅で川の防災情報やライブカメラを見ながら状況をみていまし。.時間を追うごとに水位が上が
り調布の観測所では午後1時50分ごろ避難判断水位になりまし。他のライブカメラをみても水位が下が
る気配がなく改めて天気予報をみるとこの時点でまだ台風19号が上陸していませんでした(台風19号の
目は伊豆半島沖にあった)

私は意を決しました。 避難する!

前線豪雨だけなら既往最大クラスでも河川整備により氾濫はないだろう、でも既往最大クラスが数時間
後にもうひとつ乗っかるのなら話は別だ。多摩川デルタの形成過程の一コマを自宅で見るわけにはいか
ないと自分で妙な解説をして、妻も説明し、15時すぎに近くのホテルに避難しました

SNSでの情報交換
 同時に私の地元九州から東京に出てきている同級生にグループラインによる情報交換を始めました。
正午頃台風に比較的近い川崎市の避難警戒レベルが4になったため私が避難も考えている旨も伝え
情報交換を呼びかけました。やり取りをいくか示します。

・12:17藤沢市在住:雨が凄いです。皆さん気を付けましょう
・12:40筆者:雨だけでなく風も強くなってきた
・17:20足立区在住:荒川の水位が上がってきたので知人に頼みマンションの10階に避難した
・17:49千葉雨風強くなってきた。避難所の近くに水たまりができよるよ
・18:01筆者:避難所に行くことが避難じゃなかよ。.丈夫で高い建物、自宅がそうでなら動かんがよかよ。

また次のような質問のメッセージもありました

・19:28大田区在住:うちの家の前の道挟んで向かい側が避難準備出た.多摩川から離れているのになぜ?

 これに対し、台地のくぼみ,低い土地ならの浸水リスクがあるのかも知れないと答えたところ自宅は高い
土地にあるが,出歩かないようにしておくと回答がありました。多摩川の田園調布観測所では、このやり
とりの1時問後最高水位となりました。2か月後伺った話では,近所の方は土のうを準備していた、その
方の自宅はやや高いところにあり無事だったとのこと

 翌日10月13日になれば,風も収まり結果としてグループライン内のメンバーで被災した人はいませんで
した.。なかには,台風15号の強風による停電を経験した方もいて、今回はインフラが機能し続けたので
安心したという意見も聞かれました。また、10月12日の19:20分ごろ震度4の地震があり、不安な気持
ちになったが、グループラインのやりとりが不安の解消にもなったという意見もありました.

コロナ禍のなかで
 その後、応用地質学会の災害調査団として、浸水の影響のある場所、その隣で被害がなかった場所を
調べ歩きました。2020年は新型コロナウイルスの影響で「場所」への意識は高くなりました。避難する
ことは避難所へいくことではない、むしろ3密になりやすい。会社でも友人宅でも避難所でも安定した
場所をいくつか候補としてもっておくのも大切なことなのです。

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