砂防学会企画セッション「コロナ禍における土砂災害に備えた地区防災計画のあ り方と実効化」で発表しました
令和3年度砂防学会発表
コロナ禍における土砂災害に備えた地区防災計画のあり方と実効化
|
||
---|---|---|
○田中隆文 |
1 | |
○千葉幹、樋口佳意、内山均志、清水彩香 |
3 | |
○大村さつき |
5 | |
○下河敏彦 |
7 | |
○酒井千富、酒井義明 |
9 |
2020年に入ってから新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、いわゆる3密を避けるなど「場の条件」に対する意識が近年になく高まっている。感染症の予防策のひとつとして、施設内における清潔度別区域分け(ゾーニング)が重要視されている(例えば、小野寺他:2008,㈱日建設計HP)。小野寺他(2008)によれば、この感染症予防策は、十分な科学的エビデンスに基づいており、予防策の有効性を検証する段階を超え、臨床の場でいかに実施できるかが実効性を保証する条件となっており、感染リスクの高い区域から清潔(安全)な区域まで設定されている。
一方、「有害土砂の経路に関するゾーニング」とも言うべき、土砂災害防止法による土砂災害警戒(特別)区域は感染症のゾーニングにある安全圏の設定がない。特に広範囲に及ぶイエローゾーンにおいて顕著であるが同じゾーンのなかで場所によるリスクが大きく異なる(田中他:2020)。
また、避難所が土砂災害や洪水の危険箇所に立地していたことや(朝日新聞デジタル;2019/11/6)勾配’30°に満たない集水型斜面内部の土砂が崩壊し人的被害が出るなど、土砂災害防止法に基づく基礎調査の盲点とも言うべき災害が発生している(稲垣:2018)。
これらの点を解決するためには、災害履歴と地形の成り立ち(地質科学的エビデンス)を微地形判読によって分析し、現在地の災害安全(危険)性に基づいて避難計画を最適化することで、結果として密を避け感染症対策も踏まえた避難行動が有効である。